藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

長期で資産形成したい人が「買ってはいけない投資信託」3つの特徴

約6000本ある投資信託の中から、何を選ぶか(写真:イメージマート)

約6000本ある投資信託の中から、何を選ぶか(写真:イメージマート)

 投資の3原則である「長期・分散・積立」を実現する近道となるのが、投資信託だ。約6000本ある投資信託からどうやって選ぶのがよいのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第6回は、「投資信託の選び方」について。

 * * *
 初心者の方でも少額から低リスクでスタートできる投資信託ですが、じつは国内で販売されている投資信託は全部で約6000本あります。証券取引所に上場している日本株は3800社程度なので、個別株を選ぶよりも、選択肢が多いことになります。こんなたくさんある中から、自分が買うべき投資信託は、いったいどう見つければいいの? そんな戸惑いの声が聞こえてきますが、じつはそれほど難しくありません。長期で資産を築きたい人が“買ってはいけない投資信託”をはじくと、かなり数はしぼられます。その中から自分の目的にあった投資信託を選べばいいのです。

【1】手数料が高い投資信託

 投資信託はプロに運用をお任せしますので、手数料を支払う必要があります。買った投資信託の価額が上がるか下がるかは、コントロールできませんが、手数料は最初からわかっているコストなので、なるべく安くおさえたいもの。また手数料の高さと運用成績は比例しないのも知っておくべきポイントです。

 投資信託で運用する際には、買う時、保有中、売る時と、3つの手数料がかかります。まず買う時に支払う手数料ですが、これは無料の「ノーロード」と呼ばれるものにしぼると安心でしょう。買う時に手数料を払ってしまうとマイナスからのスタートです。よほど値上がりする自信があるならともかく、そんな勝負は避けたいですよね?

 また売る時に手数料がかかる投資信託もなるべく避けましょう。これらを除いても、十分魅力的な投資信託はありますのでご安心を。

 避けて通れないのは、保有中にかかる手数料で“信託報酬”と呼ばれるものです。報酬という名前のとおり、運用に関わってくれている人たちへの手間賃と思ってください。購入した額に対して“年率何%”という形で自動的に引かれます。

 保有中、ずっと支払い続ける信託報酬は、長期投資の成績に非常に大きな影響を与えます。たとえば同じ運用利回り3.5%で、信託報酬が0.5%のA投信と、信託報酬が1.5%のB投信を比べると、A投信は、手元に残るのは3.5%−0.5%=3%、B投信は3.5%−1.5%=2%と、最終的なパフォーマンスは1%の差になります。「1%くらい大差ない」なんて思ったら、とんだ大間違いです。

 A、Bそれぞれの投資信託を100万円ずつ買って、毎年増えた利益を再投資しながら30年間運用すると、その結果は、A投信がトータル約243万円に対し、B投信は約181万円と、およそ62万円もの差がついてしまいます。たった1%でも長期投資では、大きな差につながるのです。

 さらに、信託報酬は、運用成績にかかわらず差し引かれますので、高い信託報酬を取る投資信託なら、それ以上の運用益を出してくれないとマイナスになってしまいます。高いリターンを狙うためには、高いリスクを伴います。賢明な投資家は、近づかないに越したことはありません。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。