ネット通販、動画視聴、リモート会議……日常的にあらゆる行動がスマホひとつで行われている。それに比例してスマホを使った犯罪も増加している。具体的にはどのような被害があるのか。まずは、不正アプリによる乗っ取り被害の実例を紹介しよう。
京都府の会社員・Aさん(29才)は、頻繁に送られてくる迷惑メールに頭を悩ませていた。また、スマホを起動していないはずなのに、突然カメラのシャッター音がするなど、不可解なことが多くなった。スマホのアプリを1つずつ調べてみると、インストールした覚えのないアプリが入っていることがわかった。
「これは、不正アプリをインストールされたことによって、スマホが乗っ取られた状態です」(防犯アドバイザー・京師美佳さん。以下同)
不正アプリとは、個人情報やデータを盗む目的で作られたアプリ。インストールされると第三者に乗っ取られ、個人情報の流出、クレジットカードの不正利用、盗撮・盗聴などが遠隔操作で行われる。しかし、なぜ知らないうちにインストールされたのか。
「近しい人間が勝手に入れた可能性もありますが、公式ストアを経由せず、ウエブからインストールしたアプリが偽物だったり、ウイルスだった可能性があります」
Aさんはあるサイトから、“無料占いアプリ”をインストールしたことがある。公式ストア以外で配布されているアプリには、悪意あるアプリが紛れている場合があるのだ。犯罪評論家・佐々木成三さんが言う。
「不正アプリによる被害はほぼAndroidユーザー。Androidにはストアを経由しない“提供元不明アプリ”があるんです」
ではどう対策すべきか。
「Androidの設定で“提供元不明アプリ”を許可しないこと。また普段から、アプリを何個入れているか把握しておくことも大事。使わないものはこまめに削除するなど、定期的に整理しましょう」(佐々木さん)