SNSに動画視聴、ネットショッピングに交通経路の検索、病院や映画など娯楽の予約──何をするにもスマホひとつあればほとんどのことが済ませられる便利な世の中になった。それに比例してスマホ犯罪も増加しており、スマホを紛失したことで、不正利用の被害にあうケースもある。
埼玉県の主婦・Sさん(65才)は、友人と入った喫茶店で、スマホを紛失してしまった。翌日その店から、スマホが見つかったとの連絡を受け、無事に戻ってきたものの、その後、身に覚えのない高額な請求書が届いた。調べてみると、Sさんのスマホを拾った何者かが、ネットショッピングや国際電話、電子マネーを使用していたことがわかった。どうやら、スマホを拾った人間が不正利用し、また捨てたようだ。
それだけでは終わらない。Sさんの知人から次々と、「あなたから妙な文面のSMSが送られてくる」と、連絡が来たのだ。セキュリティー情報専門サイトの編集長・武山知裕さんは言う。
「スマホのアドレスデータを盗み、Sさんの名前でなりすましメールを送ったのです。スマホは個人情報の塊ですから、紛失するとさまざまな犯罪に使われます」
紛失したらどうすべきか。犯罪評論家・佐々木成三さんが言う。
「まずは急いで心当たりを探す。iPhoneなら【iPhoneを探す】、Androidなら【デバイスを探す】という、紛失に備えた機能があらかじめ入っており、位置の特定、画面の遠隔ロック、データの消去などが行えます。見つからない場合は警察に紛失届を出し、スマホに登録したクレジットカード、電子マネー、キャッシュレス決済などの利用停止手続きを早急に行いましょう。SNSやメールのID、パスワードもすべて変更しましょう」