飲食店を探す際に、いわゆる「グルメサイト」の評価や書き込みを参考にする人もいるだろう。グルメサイトの評価が高ければ安心だと考える人がいる反面、自分が行く店の評価は低くあってほしいと考える人もいるようだ。「普段、グルメサイトを見ることはほとんどない」というネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、グルメサイトの評価について感じることをつづる。
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グルメサイトについては、元々私は違和感を覚えていました。それは、私の師匠の以下の発言がベースにあります。
「おい、中川、最近、若者とメシを食いに行くと『この店食べログ2.87ですよね(笑)』と言われることがある。食べログの評価が低い、ということを言いたいのだろうが、オレにとっては素晴らしい店だ。なのに、彼らは食べログの2.87という数字の方がオレよりも信頼できるらしい。これにオレはむかつくわ!」
これについては、私もかねてより思っていました。自分が好きなお店が、グルメサイトでは低評価をされていることがしばしばあるのです。私はグルメサイトの評価基準について、ハッキリとはわかりませんが、おそらく味だけでなく、さまざまな要素が加味されているのでしょう。アルゴリズムを変更して、チェーン店の評価を下げるなどしたことが問題になったこともあります。
そしてそこには、実際にお店に行った客の書き込みもあり、もしかしたらその内容も評価に影響しているのかもしれません。常連客はそんなにわざわざ書き込みしないでしょうから、ほとんどが一見客のものでしょう。そして一見客は、たった1回の来店時の印象を元に、「混んでいて注文を取りに来るのが遅かった」「店員が常連客を優先していて、居心地が悪い」などと、わかったようなことを書き込む。
私が今つくづく思うのは「自分の馴染みの店はグルメサイトの評価、低くあれ!」ということです。評価の高い店と知らず、単純に自分が素晴らしいと思う店で、「スイマセン、予約がいっぱいでして……」と断られたことは何度もあります。
評価がそこまで高くなければ、大混雑になることもないので、自分としては楽しめるし、店としても適正人数をさばくことができます。これが店と客にとって一番いい関係性ではないでしょうか。私が常連になっている店で、すさまじく評価が高い店はひとつもありません。ただ、サービスも味もすごく満足しています。常連にとっては最高の店で「星5つ」なのです。