父親がリバースモーゲージを利用したという都内在住の50代男性の話。
「借り入れから15年後に父が亡くなり、担保の自宅を売却して清算しようとしたのですが、不動産価格が下落していて、売却額は元金を下回る“赤字”に。差額分は相続人の私が払いましたが、父が早くに相談してくれていたら……」
このような“負の遺産”となるリスクを軽減できる商品として注目を集めているのが、「リ・バース60」だ。
物件価格が下落してもいい
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が手掛けるリバースモーゲージ型の住宅ローンで、満60歳以上が対象となる(全国の民間金融機関が販売)。
「自宅を担保に融資を受け、毎月の返済が利息のみであることは従来型と同じですが、使途が住宅の建築・購入、リフォーム、住宅ローンの借り換え、サービス付き高齢者向け住宅への入居一時金などに限定されるのがリ・バース60の特徴です」
利用者の死後、元金は相続人が一括返済するか、担保物件の売却代金で返済するかの選択になる。ポイントは不動産価格の下落で、売却しても元金に足りなかった場合だ。
「リ・バース60は残債を相続人が返す必要のある『リコース型』か、その必要がない『ノンリコース型』を選択できます。相続人の返済義務がないノンリコース型は利用しやすく、『子供たちが積極的に賛成してくれた』という声を多く聞きます」
使途に制限はあるが、従来型より利用しやすい面があるという指摘だ。
住宅金融支援機構によると、利用者の約99%が「ノンリコース型」を利用しているという。
「ただし、ノンリコース型の金利は高くなる場合があり、リコース型の金利が2%前後、ノンリコース型で3%前後に設定されるケースが多い」