「リ・バース60」の利用実態(2021年度)によると、利用者の平均年齢は69歳で、年金受給者が54.5%を占める。
「リ・バース60の使い途を見ると、注文住宅購入が約3割、新築マンション購入が約2割と、新築物件を手に入れた人が半数以上いる。60歳を超えて収入が減っても、諦めずに家を購入している人が多いということです」
リ・バース60の融資限度額は担保評価額の50~60%程度で、金額は8000万円以下とされる。その範囲の融資で、(一般的に)頭金が必要となる住宅を新規取得できる人は限られるだろう。
ただし、前述のようにリ・バース60は、老朽化した自宅のリフォーム費用に充てたり、返済が続く住宅ローンの借り換えをすることもできる。
「一般的な住宅ローンでは毎月元金と利息の支払いが必要ですが、リ・バース60は利息のみ。例えば2000万円の借り入れで金利が3%なら、毎月の支払いは約5万円で済む。年金生活者には大きな負担軽減となります」
そのほか、子や孫の住宅取得資金を援助する目的での借り入れも可能だ。
従来のリバースモーゲージと比較してメリットばかりに見えるが、もちろん、リスクもある。
「毎月の返済が利息のみと負担が小さい一方、元金を繰り上げ返済しない限り、利息の支払いが続くことになります。つまり、長生きするほど利息の総支払額は増えていく。また、従来型と同様、変動金利型の商品が中心で、金利が上がった場合は当初より返済額が増えてしまうリスクがあることも考慮すべきでしょう」
老後資金確保の選択肢の一つとなり得るが、利用に当たってはしっかりとした返済計画が必須だ。
※週刊ポスト2022年9月9日号