こうした利点を超えるほどの不利益を従業員に及ぼすことが明らかでない限り、求められている名札を付けないと、服務規律違反として処分される可能性があります。
ただし、カスタマーハラスメント等が頻発する職場で、店の従業員の数も多くない場合には、あえて氏名を明かすことは危険ですし、例えば、仮名や番号の表示にとどめても当該従業員を特定できれば、名札の効果はある程度確保できます。職場の状況に応じて事業主と相談されてはいかがでしょうか。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年9月9日号