今やスマートフォンがあれば四六時中ゲームができるし、多くの家庭に当たり前のようにゲーム機がある。プロゲーマーの活躍も目覚ましく、YouTubeなどの配信サイトでもゲーム実況は人気コンテンツのひとつだ。このように今でこそ世間にゲームが受け入れられているが、かつては「ゲーム=悪」とみなす風潮もあった。
なかには「ゲーム禁止」という家庭も珍しくなかったが、そういう家で育った子供たちは、どんな大人になったのか。当事者たちに、ゲームを禁止されていた頃の思い出と、自分への影響を語ってもらった。
一人暮らしでゲームにのめり込み2度の留年
メーカーに勤務する30代男性・Aさんは、子供時代に親からゲームを禁止された一人だ。当時を「暗黒時代」だと振り返る。
「みんながプレイしているゲームを自分だけがしていないから、クラスの子たちと話が合わないことも多々ありました。そんな時は、一人で本を読んだり、自由帳にキャラクターの絵を書いたりして、気持ちを紛らわせていましたね。友達が一人もいなかったわけでなかったので、どうにかやり過ごすことができましたが、今思えば楽しくない毎日でした」
ゲームに興味を持てなかったらよかったのかもしれないが、Aさんのゲームへの想いは強まるばかり。頑なにゲームを禁止する親に反抗心を募らせた。
「外で友達と遊んでくると親には嘘をつき、友達の家でゲームさせてもらうこともしょっちゅう。でもある時、友達の親経由でそれがうちの親に伝わり、めちゃくちゃ怒られましたね……。親は『ゲームを通じて仲良くなったような子は“友達”とは言えない。もっとまともな友達を作りなさい』とわけのわからないことを言ってきたので、ただただ反抗心を燃やしたのをよく覚えています」(Aさん)
その後、都内の私立大学への進学をきっかけに上京して一人暮らしを始めたAさんだが、かつてゲーム禁止の反動からか、ゲームにのめり込み、ついには留年してしまったという。
「大学時代に一人暮らしを始めて、初めてのバイト代で買ったのはもちろんゲーム。それこそ2~3日くらいぶっ通しで、一心不乱にゲームをやっていたこともあって、必須単位を落としまくり、2年も卒業が遅れました……。社会人になると時間がなくなったこともあって、さすがに寝不足になるまでやるということはありませんが、ゲーム好きなのは変わりません」(Aさん)