最高気温が35度以上になっても「そんなに珍しくない」と感じるほど、猛暑が当たり前になった、近年の日本の夏。室内でも熱中症になるリスクはあり、生命を守るためにもエアコンは欠かせない存在だが、もしエアコンが故障したらどうなるのか? 修理してもらおうにも、業者がすぐに対応してくれるとは限らない。エアコンの代わりに扇風機を使うという選択肢も考えられるが、今の東京の熱帯夜で、扇風機だけで暑さをしのげるのか──。その実体験をレポートする。
都内のマンションに住む40代の男性会社員・西田さん(仮名)は、今年の夏、寝室のエアコンが故障。エアコンを修理したり、新しく買い替えたりするのではなく、扇風機で暑さをしのいだという。
扇風機の最大のメリットは、消費電力が少なく、電気代が安く済むことだろう。機種によって消費電力に差はあるが、扇風機にかかる電気代はエアコンの10分の1以下といわれる。さらに、本体の価格もエアコンに比べると圧倒的に安い。
「寝室で使っているエアコンが、運転開始して1時間くらいすると水が垂れてくるようになってしまったんです。自分で排水ホースを掃除してみましたが、全く改善されない。これはもう修理するしかないと思ったんですが、仕事が忙しく、業者を呼ぶ時間もない。今住んでいるマンションは賃貸で、近いうちに引っ越しを考えていることもあって、エアコンの修理は後回しにして、扇風機を買おうと思い立ちました。
幸いなことにリビングのエアコンは故障していないので、いざとなったら緊急避難できる。また、これまで、寝室のエアコンは夜寝る前にタイマーをセットするのと、朝起きて暑ければつける、という感じの使い方。寝る時以外の時間はあまり使っていなかったので、どうにかなるか、という思いもありました。とはいえ、家で扇風機を使うのは、小学生の頃以来。かれこれ35年ぶりくらいです」(西田さん・以下同)
扇風機には直流電圧のDCモーター型と交流電圧のACモーター型が存在している。DCモーター型は音が静かで風量を細かく設定でき、ACモーター型よりも消費電力も少なくて済む。ただし、本体価格はDCモーター型のほうが高いとされている。
「基本的に就寝時に使う扇風機なので、静かな方がいいと思い、DCモーター型を選択。2万~3万円するものもありましたが、私が買ったのは6000円ほどの安いものです。
子供の頃に使っていた扇風機はおそらくACモーター型だったと思うんですが、その頃の記憶と比べると、本当に静か。多少モーター音は聞こえますが、ベッドのすぐ横に置いていてもまったく気になりませんでした。6000円の扇風機でもこんなに静かなのかと、進化に驚きました」