つみたてNISAで買える商品は、金融庁による一定の基準をクリアした投資信託・ETF(上場投資信託)に限定されています。長期投資が大前提なので、複利効果が得られない毎月分配金を受け取るタイプの商品は対象外とされています。要は金融庁のお墨付きのみのラインナップなので、何を選んでも“とんでも商品”である心配はありません。以前紹介した長期積立投資に適したインデックス投信「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(通称・オルカン)も対象商品です。商品リストは金融庁のサイトにアップされていますので、ぜひ参考にしてください。
つみたてNISAの魅力と注意点
つみたてNISAは、20歳以上(2024年からは18歳以上)であれば、年齢の上限なく利用できます。非課税期間は20年ですから、仮に80歳からスタートしても100歳まで目一杯、非課税期間を使って運用することができます。今後、制度改正で、非課税期間の延長や非課税枠拡大の可能性もありますので、ますます誰にでもうれしい制度となりそうです。
「20年間も運用しなくてはいけないの?」と逆に逃げ腰になられた方、安心してください。つみたてNISAで買い付けた商品は、どのタイミングでも自由に売ることができます。私は、株式などで安定した利益を得るには、15年以上の長期投資が前提だと考えていますが、人生、何が起こるか分かりません。運用途中でお金が必要になったときは、いつでも売却できます。
一方で、注意点もあります。資産運用にかかる税金は、利益のみにかかります。たとえば同じ年にA商品で100万円利益が出て、B商品で20万円損した場合は、損を差し引いた80万円の利益に対して税金がかかります。これを損益通算といいますが、NISA口座とほかの課税口座(特定口座、一般口座)で損益通算することができません。たとえば課税口座で100万円の利益が出て、NISA口座で20万円損したとしても損益通算できず、100万円にまるっと税金がかかります。実際にはトータルで80万円しか儲けていないので、なんとなくモヤっとしますが、受け入れるしかありません。
つみたてNISAのスタート方法
つみたてNISAを利用するには、つみたてNISAの口座を開設する必要があります。つみたてNISAの取り扱い金融機関は2022年4月時点で597社、業態は証券会社、銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合、投信会社、農業協同組合、労働金庫、保険会社と多様ですが、口座はひとつしか開設できないので、慎重に選ぶ必要があります。
金融機関によって、取り扱い商品が異なりますので、自分が積み立てようと考えている商品を取り扱っている金融機関を選びましょう。ちなみにオルカンは、SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券など大手ネット証券ならたいてい取り扱っています。販売会社は、オルカンの目論見書に掲載されていますので参考にしてください。
2022年3月末時点でのつみたてNISA口座数は396万口座で、制度が始まった2018年の年末の53万口座から4年間で7.4倍と、勢いよく浸透しています。岸田内閣は、国民への金融教育を全面推ししていますので、今後ますます増加すると思われます。つみたてNISAに興味はあるけど、ついつい後回しにしていると、いつの間にか取り残されてしまうかもしれません。