最近よく「サステナビリティ(Sustainability)」という言葉を耳にする。直訳すると「持続可能性」だ。日本に限らず世界中の企業がいま、この言葉を重要視している。そこには、環境・社会・人々の健康・経済など、あらゆる場面において、「目先の利益を追い求めることをやめ、将来にわたって続けていける活動やシステムを目指そう」という姿勢がある。
たとえば木材を例にとると、森林の再生サイクルを無視して利益優先で乱伐すると環境破壊が進み、異常気象など結局は自分たちの生活が危うくなる。そうではなく、安定した環境を維持しながら、自分たちの社会・健康・経済も持続していこう、という考えが「サステナビリティ」の根幹だ。
そうしたサステナビリティ貢献度を探ろうと、地域企業を対象に調査が実施された(算出方法は後述)。それが、ブランド総合研究所による「第4回地域版SDGs調査2022」だ。同社社長・田中章雄さんにその経緯を解説してもらおう。
「これまでは都道府県単位での全国的なSDGsへの取り組みについて調査してきましたが、地域でのSDGs活動となるとどうしても企業主導になる。そこで、各都道府県の住民約500人にそれぞれの地域の企業を評価してもらうことにしました」(田中さん・以下同)
この8月に発表された調査結果の「地域企業のサステナビリティ貢献度ランキング」が面白い。1位は日本最大手の自動車メーカー・トヨタ自動車だ。
「愛知県民回答者の44%が『環境や地域・社会の持続性を高めるような取り組みを行っている』と同社を評価しました。なんといっても、地元住民の雇用創出につながっていることが大きく、地元が誇りとする企業ですから、評価が高いのもうなずけます。
2位のハウステンボスは、1992年の開園当初から人と自然が共存するよう、環境に配慮した活動をしてきました。水を循環させたり、生ゴミを堆肥にして花畑に使ったり、再生可能エネルギーの太陽光発電、水素エネルギーを利用するなど、SDGsに関する意識がとても高いです」
3位のヨークベニマルと4位の平和堂は、ともに地域密着型のスーパーマーケットだ。
「一般にSDGsというと、途上国支援をしたり、CO2(二酸化炭素)削減など環境に配慮した取り組みを思い浮かべますが、実際の地域貢献としては、【1】雇用を創出している、【2】自分たちの生活を豊かにしている、【3】その地域らしさが前面に出ている、この3つが重要で、ランキングに大きく反映されています。
その点、その地域周辺で展開しているスーパーは身近ですし、評価されやすい。地域色豊かな売り場作りも評価のポイントだと思います。実際、30位までにスーパーやドラッグストアが11社もランクインしています」