投資情報会社・フィスコが、株式市場の9月5日~9月9日の動きを振り返りつつ、9月12日~9月16日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で563.91円高(+2.04%)と3週ぶりに反発。3週ぶりに陽線を形成し、終値では再び52週移動平均線上に回復した。
週明け5日の日経平均は31.23円安。米8月雇用統計の結果が労働市場の逼迫緩和を示唆したことで金融引き締め強化への警戒感が和らいだ一方、根強い景気後退懸念が上値を抑えた。また、エネルギー危機を巡る欧州景気の下振れ懸念も重石となった。6日は6.90円高と小動き。連休明けの米国市場の動向を見極めたいとの思惑が積極的な売買を手控えさせた。
7日は196.21円安と反落。連休明けの米国市場では、8月サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況指数が予想外に改善したことで金融引き締め強化が警戒され、金利が急伸するなか株式は下落。米10年債利回りが6月来の高水準に達したなか、東京市場にも売りが先行し、日経平均は一時27200円台まで下げ、7月19日来の安値を付ける場面があった。
一方、週後半は一転して連日で上昇。8日は634.98円高となり28000円台を回復。NY原油先物価格が1月来の安値を更新しインフレ懸念が後退したほか、米長期金利も低下したことで安心感が台頭。また、連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長が過剰な利上げリスクに言及したほか、9月連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75pt利上げが織り込まれたとの見方が強まったことも後押し。投資家心理が改善したことで買い戻しが加速した。
9日は149.47円高。パウエルFRB議長の討論会での発言が想定内にとどまり、欧州中央銀行(ECB)が0.75ptの大幅利上げを実施した中でも市場が堅調に推移したことで、買い戻しが優勢に。株価指数先物・オプション9月限の特別清算指数算出(メジャーSQ)に伴う売買も絡むなか、日経平均は寄り付き直後に28286.02円まで上昇。昼頃、黒田日銀総裁が岸田首相と会談を行い、「急速な為替変動は望ましくない」等との発言が伝わると、60銭ほど円高・ドル安が進んだことで一時弱含んだが影響は限られた。
今週の東京株式市場はしっかりか。米8月消費者物価指数(CPI)など重要指標を控える週ではあるが、波乱の確率は低く、相対的には週末の米国でのトリプルウィッチング(株価指数先物、株価指数オプション、個別株オプションの3つのデリバティブ取引の決済が重なる日)に向けて、米国株のショートカバー(買い戻し)に連れてやや上方向に行きやすい相場展開が予想される。