先週7日、6月FOMCの開催直前に0.75pt利上げのリーク報道役を担ったウォールストリート・ジャーナル紙のニック・ティミラオス記者が9月20~21日に開催されるFOMCでの0.75pt利上げの可能性を報じた。こうした経緯もあり、市場では既に0.75pt利上げがほぼ完全に織り込まれた。これに伴い、13日に控える米8月CPIに対する警戒感もやや薄れており、大幅に上振れでもしない限り市場が神経質に反応する可能性は低いだろう。
今週15日には英国で金融政策委員会が開催される。先週、ECBが過去最大の0.75ptの利上げに踏み切った中でも市場に大きな動揺は見られなかったため、英国の中央銀行イベントも無難に通過するだろう。今後、市場の関心は各国中央銀行による政策動向そのものよりも、今後も続く金融引き締めが実体経済、企業業績にどの程度影響を与えるのかという点に移っていくと考えられる。
こうした中、特に注目なのは週後半にかけて発表される米国と中国の8月小売売上高や鉱工業生産のほか、米連銀が公表する9月製造業景況指数、9月ミシガン大学消費者信頼感指数などだろう。ただ、先んじて発表されている米8月ISM製造業・非製造業景況指数が揃って市場予想を上回っていることもあり、株式市場が急落するほどの大幅な悪化の可能性は低いだろう。
このため、インフレ長期化や景気後退を巡る懸念はくすぶるものの、目先の株式市場は堅調に推移することが見込まれる。また、こうした見方を支える背景として需給要因も挙げられる。米国では8月最終週に、機関投資家が株式のプットオプション(売る権利)の新規購入に81億ドルをも費やしたと、一部の調査会社が伝えている。これは少なくとも過去22年で最も大きいという。また、商品投資顧問(CTA)の米国株のネットの買い持ち高は過去11年間の最低水準まで急低下しているとも伝わっている。
日経平均が7月20日から8月17日まで急上昇した期間、海外投資家は日経平均先物を1兆3500億円ほど買い越していた。8月第4週(22日~26日)~第5週(29日~9月2日)の2週間では一転して売り越しに回っていたが、この間の売り越し額は5400億円程。そのため、買い持ち高の解消余地はまだ残っており、日本株に限っていえば需給状況はあまり良くない。ただ、上述したように米国株が堅調に推移すれば、日本株も為替の円安基調なども相まって堅調な動きが期待できそうだ。
今週は12日に8月工作機械受注、13日に7-9月期法人企業景気予測調査、8月企業物価指数、米8月CPI、14日に7月機械受注、米8月生産者物価指数(PPI)、15日に8月貿易収支、東京ゲームショウ2022(~18日)、英国金融政策委員会、米9月ニューヨーク連銀景況指数、米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米8月小売売上高、米8月鉱工業生産、16日に中国8月小売売上高、中国8月鉱工業生産、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数などが発表予定。