建物に心理的瑕疵があると主張するには、個人の主観的好みを超え、一般人において住み心地のよさを欠くと感じることに、合理性がある事由に基づくのが必要です。
例えば、独立性が高い賃貸マンションでは、永続的な居住や隣人を含む地域との関係性は希薄で、事故が長く語り継がれるようなこともないとして階下区画での事故では、通常一般人が住み心地のよさを欠くことはないと判断され、告知義務違反を認めなかった事例もあります。よって、あなたの要望の実現は、難しいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年10月7・14日号