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相続税の申告が必要になる人は6年前に比べて倍増 生前贈与で節税対策する人も増加

「生前贈与のルール変更」で課税対象が大幅増の可能性

「生前贈与のルール変更」で課税対象が大幅増の可能性

 例えば、相続人が子供1人で5000万円の遺産をそのまま相続した場合、相続税は160万円かかる。

 しかし、110万円の暦年贈与を10年続ければ、遺産は3900万円に圧縮されて相続税は30万円で済む(亡くなる3年前までに贈与が完了している場合)。

 生前贈与をはじめとする相続税対策への注目度は近年高まり続けている。相続・贈与に詳しい山本宏税理士事務所の山本宏氏が語る。

「2015年に行なわれた税制改正の際、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことで、課税対象となる人が激増しました。都内では亡くなった方の約2割が相続税の対象者となっています。私の事務所でも相続税対策の相談は年々増え続けています」

 山本氏が指摘するように「基礎控除引き下げ」の影響は大きい。

 改正前は妻1人、子供2人が相続人のケースでは、相続財産が8000万円(5000万円+1000万円×法定相続人3人)までは相続税がかからなかった。しかし、改正以降、4800万円(3000万円+600万円×同3人)より相続財産が多ければ課税対象となるようになった。

 結果、亡くなった人のうち相続税の申告・納税が必要な割合を示す「課税割合」は、2014年の4.4%から8.8%まで(2020年)増加している。

 それゆえ、Aさんのように生前贈与をして節税対策をする人が増えているのだ。

※週刊ポスト2022年10月7・14日号

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