実際に、59才を境に、仕事の能力は低下してしまうことがわかっている。現役時代に“モーレツ”に働いていた人にとっては「プライド」こそが定年後のいちばんの障壁になり得ると、セカンドキャリアコンサルタントの高橋伸典さんが話す。
「大きな仕事をしてきた自負があるため“私が○○の仕事をしていたときはね……”などと、再雇用先・再就職先で無意識にマウントを取ったり、上から目線になりがちで、若い人に嫌がられてしまうことも少なくありません。高収入だった人は特に、年収が2分の1になるケースもありますが、だからといって若い人と張り合ったり、ガツガツ働いてはトラブルを招いたり、何より健康を害する。定年後は“それなりの収入を無理なく稼ぐ”ことにシフトするのが正解です」
令和のセカンドキャリアを悠々自適に過ごしたいなら、収入も仕事ぶりも「ほどほど」を目指すのがいい。
定年後の仕事の満足度を高めるには
それなりの収入とやりがいを求めるなら、新天地を目指すのも1つの手だ。まず、現役時代のプライドは捨てること。できれば再雇用ではなく、自分を評価してくれる再就職先を見つけるのがいい。
「とあるIT企業の社長秘書を長年務めていた女性は、再就職先がなかなか見つからずにいました。ところが、思い切って前職とはまったく関係のない、東京都の公務員の臨時職員に応募してみたら、すんなり採用された。社長秘書の仕事で鍛えられた事務処理能力で、みるみるうちに周囲から頼られる存在になり、いまでは大活躍しています。まったくの別業種でも、現役時代にしっかり経験を積んでいれば、充分通用するのです」(高橋さん・以下同)
同業種での再就職なら、あえて大企業ではなく、現役時代よりも規模の小さい職場で再スタートを切るのもいい。