橋本:ビギナーズラックで最初に当たってギャンブルにハマっちゃう人は多いです。少し儲けただけで、自分はできると思い込んでしまうんです。
オバ記者:でも、成功体験があれば希望は持ちますよ。最初に勝って、それを次のレースで膨らませてということを繰り返して、ドンと大きく獲ったりすると、天下を取った気分になります。
橋本:でも実際はその場のすべてをコントロールできているわけではない。それなのに、うまくいくと自分の力で制御できているんだと思い込んでしまう。「コントロール幻想」というんですが、自信過剰、勘違いです。
オバ記者:はぁ~ッ(ため息)。そう言われると過去の不成功体験を思い出して耳が痛いわ。でもね、若い頃はパチンコでも麻雀でも競馬でもそれこそ血眼になってやったもんだけど、この年になるとそれはない。だけど、ギャンブルに挑むときの気持ちというか、明るい未来があるぞ、という気持ちはいまでも何かにつけて抱くけどね。
橋本:野原さんの強さはそこにあると思います。年齢を重ねて自分の限界や行き先を察すると、人は縮こまってしまうものですが、新鮮なチャレンジ精神を持ち続けている野原さんにはそれがない。貯金ゼロでも人生を謳歌できる秘訣がそこにあると思います。
【プロフィール】
橋本之克さん/マーケティング&ブランディングディレクター。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。著書は『9割の買い物は不要である』(秀和システム)など。オバ記者との対談は3回目となる。
「オバ記者」こと野原広子さん/空中ブランコや富士登山など体当たり取材でおなじみ。本誌『女性セブン』連載『いつも心にさざ波を!』も好評。笑顔の絶えない65才。
※女性セブン2022年10月13日号