投資情報会社・フィスコが、株式市場の9月26日~9月30日の動きを振り返りつつ、10月3日~10月7日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で1216.62円安(-4.48%)と3週続落。週足では窓を開けたローソク足で3週連続での陰線形成。終値では26週線など主要な移動平均線を下放れた。
週明け26日の日経平均は722.28円安と急落し、27000円割れ。国内が連休中、英国政府が大規模減税策を発表し、インフレが悪化するとの懸念から欧米の金利が軒並み上昇し、景気後退懸念も強まるなか欧米株が下落。こうした流れを引き継いで東京市場でもリスク回避の動きが先行した。27日は140.32円高と反発。急落後の自律反発で上昇したものの、外部環境の不透明感がくすぶり、上値の重い展開だった。
28日は397.89円安と再び大幅下落。米アップルの「iPhone(アイフォーン)14」増産計画撤回が伝わり、企業業績悪化の懸念が強まり、ハイテク株を中心に売りが広がった。一時7月4日以来となる26000円割れとなったが、配当権利取りの動きなどから終値では26000円台を維持した。29日は一転して248.07円高と反発。223円程度の配当落ち分を考慮すれば、前日の下げを取り戻す形。英イングランド銀行が長期国債を期限付きで無制限に買入れすると発表し、金融不安が一時後退。欧米の金利も低下に転じたため買い戻しが強まった。
しかし、週末は再び484.84円安と大幅下落で、今度は終値でも26000円割れとなった。欧米の金利が再び上昇したことや、ナイキ、マイクロン・テクノロジーのほか、中古車販売のカーマックスの決算が軒並み冴えなかったことで企業業績悪化の懸念が再燃。ハイテクのほか自動車関連も急落し、ほぼ全面安の展開となった。
今週の東京株式市場は一進一退か。米金融政策の動向を占う上でカギを握る米9月雇用統計を週末に控えるなか、様子見ムードが漂いやすく、この間は6-8月期決算を受けた個別株物色が主体となりそうだ。
外部環境の不透明感が株式市場の上値を抑制する展開が続きそうだ。欧州ではエネルギー価格の高騰長期化を背景とした物価高と景気後退の併存であるスタグフレーションが進行している。加えて、足元では英国でトラス政権が財源の裏付けに乏しい大規模な財政政策を打ち出しているほか、イタリアでは積極的な財政出動でバラマキ色の濃い右派政権が誕生。財政不安から欧州では株安に加えて通貨安・債券安が進行。英イングランド銀行による長期国債買取りという緊急対応により一時的にこうした金融不安は緩和したが、疑心暗鬼は続く。国債買取りの期限である10月14日が近づくにつれて再び同様の問題がクローズアップされる可能性がある。そもそも、国債買取りは資金供給を通じて最終的にはインフレに寄与しかねないため政策の不整合性が否めない。欧州発の市場波乱には注意が必要だ。