NFTを使って“ギャンブル”を楽しむ未来が来るのか──。スポーツ産業の振興とスポーツエコシステムの確立を目的としたスポーツエコシステム推進協議会が9月20日、「スポーツコンテンツを活用したNFTのパッケージ販売と二次流通市場の併設に関するガイドライン」を発表した。
NFTとは、日本語では「非代替性トークン」と表現される、複製・偽造不可能な所有証明書が記録されたデジタルデータ。“唯一無二”のデータとして売買も行われており、現在、アメリカでは「NBA Top Shot」と呼ばれるNBA関連のショート動画などのNFTを、ランダムで販売するサービスが人気となっている。
「NBA Top Shot」を提供するDapper Lab社は、「Moments」と呼ばれるNBA選手のプレー動画等のNFTをランダム販売をするとともに、ユーザー同士の二次流通市場も運営。同社は二次売買の取引金額の5%を手数料及びNBA選手のパブリシティ権利用の対価として徴収している。この二次流通市場での価格はユーザーが自由に設定可能で、レアなMomentsが高額で取引されることもある。つまりユーザーは、“ガチャ”で得たMomentsを別のユーザーに高く販売し、利益を得ることも可能なのだ。
しかし、日本では「NBA Top Shot」のようにNFTのランダム販売と二次流通市場を併設したサービスの場合、賭博罪が成立するのではないかとの懸念も出ている。その問題について、スポーツエコシステム推進協議会が議論を行い、策定したのが「スポーツコンテンツを活用したNFTのパッケージ販売と二次流通市場の併設に関するガイドライン」だ。
このガイドラインでは、NFTのランダム販売と二次流通市場を併設したサービスについて“賭博ではない”と結論づけている。ユーザーが“負ける”可能性がある場合に限り賭博が成立するが、ランダム販売においては“レア”な物が手に入ることはあっても、その価格相当の物は確実に手に入るので、ユーザーが“負ける”ということはない。つまり、一般的なランダム販売と変わらず、“NFTガチャ”も賭博ではないと見ることができる。また、二次流通市場での販売価格は、一次流通での価格とは関連性がないと考えられるので、一次流通と二次流通のサービスが併設されていても“賭博”にはならないという見方だ。
しかし、ランダム販売をするゲーム会社が二次流通市場で、NFTの買取や転売を行った場合は、賭博となる可能性もあるという。