同様に、為替手数料もネット銀行が目を引く。
「住信SBIネット銀行は片道6銭ですが、メガバンクでは同1円と、約16倍の開きがあります。ただし、店頭窓口のある銀行でも(手続きや取引をオンラインで行なう)インターネットバンキングを利用すれば、メガバンクで片道25~50銭と安くなります」
金利、為替手数料を考慮すればネット銀行が有利ではあるが、すでに口座を持っている都市銀行のネットバンキングで外貨預金口座を開けば、「管理のしやすさ」というメリットがある。
「基本的な口座開設の仕方は円預金と同じで、窓口以外にパソコンやスマートフォンを通じたネット申し込みもできます(一般的には円普通預金口座が必要なので、取引したことのない銀行であれば普通預金の口座開設から始める)。ネット銀行では本人確認書類と顔写真をアップロードするだけで口座が開設できるところもあります」
口座が開設できたら、満期日を楽しみに待つことになるが、ドルから円に戻す際には留意しなければならない点もある。
「ドル預金には利息と為替差益に税金がかかります。具体的には、利息分には利子所得として約20%の税金がかかり、為替差益が発生した場合は、雑所得として課税されます。また、ドルをはじめ外貨預金は預金保険の対象外なので、預入先の金融機関が破綻した場合は、預金が戻ってこない可能性があります」
さらに森田氏は、こう注意を促す。
「ドル預金は、為替が急激な円高に振れると為替差損が生じるリスクがあります。そのため、ある程度の預貯金がない人には向かないといえます。始める場合は、まずは3か月分程度の生活費を確保したうえで、それでも預貯金に余裕があれば、その2~3割程度の金額で行なうのがよいでしょう」
自身のリスク許容範囲を見定めたうえで、円資産の目減りを防ぐ選択肢となるかを考えることが望ましい。
※週刊ポスト2022年10月21日号