日本が円安阻止に動くことで、グローバル金融危機が引き起こされるのか──。一旦、落ち着きかけていた米国10年物国債利回りだが足元では、後わずかで4%に迫る水準まで上昇している。
OPECプラスは5日に開かれた会合において、11月から1日当たり200万バレルの減産を決めた。事前予想は100万バレル程度の減産であっただけにサプライズは大きく、原油先物価格は急上昇した。さらに、7日に発表された9月の米国の非農業部門雇用者数は26.3万人の増加で市場予想を若干下回ったが、失業率は前月から0.2ポイント低下し3.5%となった。これは約50年ぶりの低水準である。
エネルギー価格の先高観が強まった上に、景気が予想以上に強く、インフレ期待が高まりかねない状況で、FRB(連邦準備制度理事会)はハイピッチの利上げを続けるだろうとの見通しが強まっている。
為替市場にも大きな変化がみられる。11日の日本円対ドルレートは145円を超えて推移している。
日本銀行は9月、円安阻止を目的に2兆8382億円の為替介入を実施したが、この時の経験から、1ドル145円あたりが当局の定める現時点での円安水準の限界線とみられている。再び介入があると予想する市場関係者も少なくない。
グローバル金融市場が不安定な動きを見せる中、中国メディア(BWC中文網、10月9日)が気になる記事を報じている。〈世界の中央銀行は4週間で810億ドルの米国債を売却 日本は真珠湾(攻撃)式の事件を起こすかも 状況は変化している〉といった表題で、日本の米国債売りがグローバルな金融危機を引き起こしかねないと警告している。
円安について、この先1ドル=145円を超え、155円まで円安が進めば、資金流出圧力が大きく高まり、日本の国債、株式市場には許容しがたい下落圧力(国債利回りは上昇圧力)がかかりかねない。だから、どんなことをしても、日本は1ドル=145円を大きく超えるような円安を防ごうとするのではなかろうか。今後は日本は米国債を売ってでも円安を阻止するだろうし、民間の金融機関も日本銀行に同調して米国債を売り浴びせるのではないか、といったロジックだ。