米国政府筋は、日本が米国の国益に逆らうことをやるわけがない、と思っている。それを裏切って米国債を売るのであれば、まさに想定外の奇襲で、だからこそ“真珠湾”といったワードを表題に使っているのだろう。
中国メディアの勝手な予想だと読み飛ばしたいところではあるが、考えさせられる部分も多い。これまで米国債の有力な買い手となっていた各国中央銀行は軒並み退却姿勢を見せており、それは日本の年金基金や生命保険会社なども同様だ。そもそも日本の財政状況を考えれば、日本国債の利回りが上昇すれば、予算を組むことが非常に難しくなる。また、多くの市場関係者たちにとって意外であった日本銀行による単独の為替介入も、その背後にはよほどの理由があるだろうことは容易に想像できる。ロジックとしては納得できる話である。
もっとも、現在の円安がグローバル金融危機を引き起こしかねないほど危険なものであれば、ギリギリのところで国際協調介入が行われるのではないか。そう考えるならば、そろそろ円安も限界だという見方もできるが、どうだろうか。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。