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国民年金を厚生年金で穴埋めする年金大改悪 次は「専業主婦の第3号被保険者」が狙われる

「サラリーマン年金カット」で「年間7万円」の受給減

「サラリーマン年金カット」で「年間7万円」の受給減

「専業主婦は保険料を払っていない」の誤解

 実際、厚生労働省の社会保障審議会年金部会ではそうした議論が俎上に載せられている。2015年1月21日の年金部会に厚労省年金局が提出した〈これまでの議論の整理〉と題された資料では、部会で示された主な意見として〈総論では第3号被保険者制度をやめることについては異論がないと思うが、具体的にどうするかは難しい問題〉といった記載がある。

 資料には第3号被保険者の今後の在り方について具体的に〈配偶者が平均所得を超える場合には保険料を負担してもらうことも考えられるとの意見、第3号被保険者については免除者と同じ取扱いとして国庫負担分相当の2分の1の給付のみを保障し、別途任意の保険料を拠出した期間に満額の給付を行うという意見などがあった〉との記載もある。

 つまり、現行制度において厚生年金に加入する夫(妻)の専業主婦(主夫)を40年間続ければ、保険料を払わなくても国民年金が満額(月額約6万5000円)を受給できる状況から、毎月の保険料(約1万6600円)を負担させる案や、受給額を半減させる案が議論されているわけだ。

「議論の前提として、“専業主婦(主夫)は保険料を払っていないのに国民年金が受け取れるのはおかしい”という考え方があるのだと思います。実際、年金部会の資料には〈そもそも第3号被保険者の方は、自らの保険料は夫の給料から引かれていると思い込んでいる人も多いという指摘もあった〉とあります。

 しかし、それは“思い込み”ではありません。第3号被保険者は1985年の年金改革でできた制度ですが、その際にサラリーマンの厚生年金保険料率は10.6%から12.4%へと約2割も引き上げられています。つまり、“第3号被保険者の専業主婦の保険料分は夫の給料から引かれている”という考え方は、別に間違っていない。年金財政が苦しくなったからといって国民年金が受け取れる第3号被保険者を減らし、厚生年金加入者を増やそうという方向にするなら、国はそうした経緯をきちんと説明したうえで、納得を得られるような努力をすべきではないか」(同前)

「令和の年金大改悪」のターゲットはサラリーマンだけではない。国民に詳しい説明もないまま、専業主婦にもその矛先が向かっているのは間違いないようだ。(了)

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