いまや、60代後半の高齢者の2人に1人が働く時代。中でも、女性の就業率は70.9%と、「老後はのんびり年金暮らし」というのはもはや夢物語。それだけ、苦しい生活を強いられている高齢者が多いということだ。年を重ねて必死に働いても、お金は思うようには増えない。
『定年後ずっと困らないお金の話』の著者でマネーコンサルタントの頼藤太希さんが言う。
「定年後に再雇用された人の給与は、現役時代と比べて平均44.3%減るというデータがあります。高齢者でも働ける環境こそ整いつつありますが、現役時代と同じような仕事内容なのに、給与はガクッと下がる人が多いのです」
リクルートワークス研究所の調査によると、自営業者を含めた50代後半の年収の中央値が350万円なのに対し、60代後半から70代前半では170万~180万円。年収が現役時代の半分になってしまう人がほとんどなのだ。
さらに、老後を支えてくれるはずの年金も年々減少している。公的年金の支給額は今年4月から0.4%減少し、この先も目減りする可能性の方が高い。その目安も、生涯平均年収500万円・43年間厚生年金加入の場合、65才で受給開始の年金額は、193.7万円。定年まで必死に勤め上げても、受け取れる年金は200万円にも満たないのだ。
日本人の平均寿命は、女性87.57才、男性81.47才。約200万円の年金と収入、貯蓄で、老後を賄えるのだろうか。
「総務省の家計調査では、70才以上の生活費は、50才代の68.1%。若い頃は必要だった住宅ローンや子供の教育費などがかからなくなるため、定年後の生活費は、現役時代の0.7掛けだと考えてください。そこに、1人当たり500万円の医療費・介護費を足せば、老後に必要な金額の目安がわかります」(頼藤さん)