「全国旅行支援」があっても旅行する余裕はない
今月11日から始まった国の観光振興策「全国旅行支援」。だが、メーカーに勤務する40代男性・Cさんは、「複雑な気持ち」だという。
「これまで苦境だった観光業・宿泊業への支援の意味はあるかもしれませんが、税金をばらまいているとしか思えません。旅行に出かけたい人は、別にそんなものがなくても、自分のお金でも行くと思います。実際、以前のGo Toトラベルの時には、都民が都内のホテルに泊まって喜んでいたりして、全然旅行でもなんでもなかった(笑)。自分へのご褒美としてはいいでしょうが、果たして本当にそれでいいのかという……。
そもそも値上げラッシュで生活が厳しくなった人にとっては、旅行する余裕なんてないわけです。効果が限定的なバラマキではなく、将来的に観光業・宿泊業の発展につながるような政策を取るべきでは」(Cさん)
Cさんは、歯止めがかからない円安についても「バラマキ政策の弊害」と感じていて、ウンザリしている。
「バラマキ政策には財源が必要。税収が増えないのであれば、結局、国債でまかなわなければならない。そうやって財政赤字が拡大すれば、ますます通貨価値が下落して円安に進むという負のループが待っている。先日、日本に来ている外国人観光客から『Cheaper』という言葉が聞こえてきました。観光で日本の良さを知ってはほしいですけど、『安さ』だけが魅力ではない。なんだか悲しい気持ちになりました」(Cさん)
バラマキばかりで中長期的な施策を打ち出せない政府に、不満やイラ立ちを募らせる国民は少なくないようだ。(了)