「夫は私が普段どれだけ節約をしているのか分かっていないんです。電気代やガス代など固定費の出費が激増しているなか、自転車で20分の距離にある激安スーパーへ行ったり、不用品はフリマサイトで売却することで、やっと私のお小遣いが捻出できています。この苦労を直接伝えたことはありませんが、年収400万円台の夫だけの収入では生活が大変であることは理解してほしいです」
「公園のベンチでパンを食べたら?」
夫との金銭的な価値観のズレにモヤモヤしていたミホさんをさらに追い詰める出来事が発生。それは、夫からの「小遣い値上げ要求」だった。
「夫には昼食代込みで2万円のお小遣いを渡していますが、物価高の影響もあり厳しいと言ってきたんです。希望は1万円アップの3万円、『なんとかなるでしょ?』と笑いながら交渉してきた夫にカチンときてしまいました」
ミホさんは今まで話してこなかった日々の節約や不満を夫に吐き出した。夫は驚いた表情をしたものの、ミホさんの話を最後まで聞いてくれたという。最終的に夫のお小遣いは変更しないことが決まった。
そして平和に終わるはずだった話し合いだが、まさかの展開となってしまう。
「ある程度話が済んだ頃、夫に喫茶店のモーニングが値上げされたことを改めて愚痴りました。せっかくの私の楽しみがなくなってしまうと。そこで返ってきたのが、『物価高だし、お互いに頑張って乗り切ろうよ。近所の公園にベンチがあるし、自宅から焼いたパンとコーヒーでも持っていったら? 子供は見てるからゆっくりしておいでよ』だったんです。冗談のつもりかもしれませんが、私にはショックでした」
今回の件をきっかけに、改めてお金の重要性を知ったと話すミホさん。激務である夫を支えるためにも専業主婦として家庭を守っていきたい気持ちはあるものの、子供たちの進学のことなどを考えると夫の収入だけではそうも言っていられないと判断したそうだ。現在、子育てをしながらでも働ける職場を探している。
収入は上がらないのに物価は上昇……、この現実に頭を悩ませている家庭は多い。ミホさんのケースのように、手頃な喫茶店のモーニングさえも遠い存在になりつつある。家族間でお金について話し合うなどして、価値観をすり合わせていくと良いかもしれない。(了)