「ボジョレー・ヌーヴォー」の季節が今年もやってきた。フランスのボジョレー地区で、その年に収穫したぶどうで作った新酒ワインを意味し、11月の第3木曜日となる11月17日に解禁される。日付変更線の関係で、日本はフランス本国より早く解禁されることもあり、今年のワインで出来を確かめようと、楽しみにしている人も少なくないだろう。毎年の“風物詩”ともいえるボジョレー・ヌーヴォーの解禁だが、“若者のお酒離れ”が指摘されて久しい昨今、若い世代の中にはまったく興味がない人たちも少なくないようだ。
毎年秋に報じられる“謎の恒例行事”
メーカーに勤務する20代男性・Aさんは、ボジョレー・ヌーヴォーについて、「よくわからない」というのが率直な感想だ。
「『ボジョレー・ヌーヴォー』という言葉を初めて聞いた時は、何か芸人コンビの名前かと思ってしまいました。その後、フランスのワインということを知りましたが、決まって毎年秋頃、フランスから日本の空港に到着したというニュースが報じられるのが謎。デパ地下やスーパーでもありがたそうに売られていて、“謎の恒例行事”だなと思っています。正直、なぜ話題になっているのか、全然わからないです」(Aさん)
Aさんの職場には、有志で集まる「ワイン会」があり、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁に盛り上がる人たちもいるという。Aさんは、そのメンバーの一人である50代男性上司から聞かされたバブル時代の話に驚いた。
「上司の『昔はハロウィンよりボジョレー・ヌーヴォー解禁の方がすごかった』という言葉が、衝撃的でした。解禁前日にカウントダウンするくらいの盛り上がりで、“祭り”だったそうです。コンビニの店頭でも、張り切って売られていたとか。
その上司が、ボジョレー・ヌーヴォーとは、『初ガツオ、新そばみたいなもの』と説明してくれました。僕が『初物というだけで大騒ぎするんですか? しかも日本のものでもないのに?』と尋ねると、上司は『秋の収穫を祝う意味合いもあるけど、先進国のなかでは、日本が世界でいちばん早く出来たてのワインを味わえるというのが最大のポイントなんだよ』などと説明してくれました。“早く飲める”ことに、そんなに大きな価値があった時代もあったんですね」(Aさん)
IT企業に勤務する20代女性・Bさんは、「ボジョレー・ヌーヴォー解禁」というフレーズに、“禁止されていたものが解禁される日”と勘違いしていたという。
「かろうじてワインということは知っていました。でも、『解禁』という言葉なので、何か限定版の貴重なワインで、普段は日本に輸出禁止になっているけど、年に一度だけ飲むことが許可される日なのかな、と思っていました。だからありがたいのかと。
でも、ボジョレー・ヌーヴォーは“解禁日”にしか飲めないわけではない。その後はいつでも飲めるわけだし、そこまでありがたがる必要もないのでは? とはいえ、まあ、季節を感じられる行事があるのはいいことですよね」(Bさん)