対応を求める利用者や、遺骨を引き取りに利用者が続々と訪れる「御霊堂元町」に、当初の引き渡し期限だった10月24日、記者が訪ねると代表の太田氏がこう説明した。
「納骨堂を開業して10年ですが、スタート時から経営がうまくいかなかった。当初販売を予定していた1500基のうち、売れたのは半分の773基のみ。増設の許可がなかなか下りず、資金繰りのリスケジュールも却下されて、いよいよ経営が行き詰まりました」
太田氏らの申し立てにより、裁判所による強制執行は11月21日に延期された。だが、解決の兆しの見えない状況に、檀家たちの怒りと困惑は収まらない。
「共同墓地に移すしかない」
50万円で妻と義理の母の遺骨を納めたという60代男性はこう語る。
「生前の妻はお墓にお金をかけないでと望んでいたこともあり、この納骨堂に決めました。今思えば、2018年に北海道で大きな地震があった時に納骨堂内のタイルや壁が剥がれたのをずっと放置していたので、お金があまりないのかなとは感じていましたが、いきなりの経営破綻、閉鎖宣言には驚きました。こちらも経済的にゆとりがあるわけではないので、本当にお骨を引き取るしかないのなら、市営の7600円の共同墓地に移すしかない。妻と義母の供養にならないので、とにかく早く結論を出してほしいです」
5年前に70万円で両親の納骨をしたという別の60代男性はこう憤る。
「代表の太田さんは謝るばかりで経営状態がどう悪かったかも答えず、会計を見せろといっても書類1枚出しません。次は11月13日に説明会をすると言っていましたが、時間稼ぎでしかないでしょう。私の職場に行く途中にこの納骨堂があるので毎日のように来ていましたが、従業員の人たちは高級車に乗っているし、本当にお金がなかったのか疑問です。お金も戻ってこないと言うし、何もかも納得できません」
当初の引き渡し期限が2週間後に迫るなかで遺骨の引き取りを求めるなど、「御霊堂元町」の対応には不審な点がある。地元紙記者が語る。
「競売が始まってからも納骨堂の販売を続け、7件の檀家に納骨壇の使用権を計300万円以上で売っていました。競売を知った上で新規に売り出すなど利用者のことを考えているとは思えない対応に終始しています」