太田氏に資金を貸し付け、のちに土地・建物を差し押さえて競売にかけた葬儀会社の関係者は「資金難」に疑問を抱く。
「私どもとしても檀家がいるので競売は避けたかったが、資金を返済してほしいと申し出ても太田さんは返答せず、やむなく貸金返還請求訴訟を起こしました。700基以上売れたなら数億円の売り上げになったはずだが、そのお金はどこに行ったのか。太田さんは収支を一切明かしていません」
こうした疑問を太田氏にぶつけるとこう答えた。
「納骨堂の年間の管理費収入は700万円弱しかなく、経営が成り立たなかった。宗教法人は檀家からの寄付がないとやっていけないが、うちは受け取っていません。競売開始後の新規契約については甘い判断かもしれないが、事業を継続できると思って行ないました」
その上で、まだ事業継続の望みは絶たれていないと言うのだ。
「最悪の場合を想定して一時的に遺骨の引き取りをお願いしていますが、私は納骨堂を継続できるとの望みを持っています。私を含め全役員が交代し、不動産会社に家賃を払っていく形で事業を継続することを考えています。お骨については、裁判所の執行官に事業を継続できない時はどうなるかを聞いても明確な答えはありませんでした。札幌市に聞くと、市の倉庫に保管する規約になっているとのことです」(同前)
どこか楽観的だが、この先の展開は波乱含みだ。両親を納骨した前出の60代男性が語る。
「私は仕方がないから遺骨を引き取るつもりですが、説明会では『俺は最後まで戦う』と引き取りを拒否した人がいました。つい先日も納骨堂で、遺骨を引き取りにきた利用者に『引き取ったら負けになる』と引き留めている人もいました。納骨堂側と利用者の間にはまだひと悶着あるはずです」
記者が直撃した翌日から太田氏は音信不通となり、利用者たちも建物に入れなくなった。
※週刊ポスト2022年11月11日号