甲南大学名誉教授の園田寿・弁護士はこう語る。
「納骨堂が破綻するケースはいくつかありますが、檀家さんは泣き寝入りに近い状態です。今回のケースもお金を取り戻すことは難しいでしょう。宗教法人に返済する義務はありますが、法人自体が解散すれば損害賠償請求の裁判も起こせません。遺骨の管理についても法人が破綻してしまうと如何ともし難いのが現実です。納骨や火葬は都道府県知事に監督権限があるため知事の監督責任を問うことはできるかもしれませんが、お金が戻ることは期待できません」
新しい供養形態が市民権を得るなか、突如倒産するなどのトラブルは誰にでも起こり得る。騒動を避けるにはどうすべきか。
前出・鵜飼氏は言う。
「納骨堂を選ぶ時には、最低限ホームページなどを見て、運営している母体がどんな団体か、どういう宗派の宗教法人でどういう歴史があり、代表役員はどういう人物なのかを確認すべきです。本山のない単立寺院であることを隠していたり、本部がどこかを開示していない納骨堂は要注意です。今回破綻した札幌の納骨堂の運営主体は真言宗や浄土宗といった宗派に属さない単立寺院。そうなると宗門の監視もきかないため、安定した運営がなされるとは限らないことがあります」
納骨した後は、安らかに眠らせたいものだ。
※週刊ポスト2022年11月11日号