日米の金利差拡大を背景に進んだ、円安・ドル高。1ドル=150円を突破した局面では、政府・日銀が為替介入を実施し、マーケットは大きく揺れ動いた。それをチャンスとして捉えていたのが、“ミセス・ワタナベ”とも呼ばれる日本の個人投資家たちだ。
FXトレーダーとしてYouTubeなどで情報を発信する平井聡士氏は「今年は2億円を超えるプラスになっています。これだけ激しい値動きは10年に一度もないほどの相場。このチャンスに乗らない手はないと思っています」と語るなど、円安相場・介入相場の波に乗って稼いだ投資家は少なくない。
一方で、損失を出した個人投資家も多い。メルマガ「ブルベアFX通信」で為替情報を配信する為替アナリストの陳満咲杜氏の分析だ。
「FX取引では、高値で売った通貨が下がったところで買い戻し、利益を出すこともできる。今回の政府・日銀の介入では、『そろそろ介入が来る』と予想しドル売りを仕掛ける“介入プレー”に走った投資家も多かった。ところが、介入がなかなか行なわれず、ドルは投資家の思惑どおりに下がりませんでした。
統計を見ると、仕方なく“損切り”し、買い戻しが膨らんだことでさらにドルが値上がりする(円安が進む)『踏み上げ』が発生し、損失を拡大した人が多かったようです」
FXトレーダーでYouTuberのJIN氏は、自らの大きな失敗を明かす。
「昨年まで1億円の利益を出していましたが、今年3月、1ドル=120円台の時に、『さすがにドルが買われすぎで、中長期的には円高に反転する』と見てドル売り円買いをしたところ、損失は膨らみ続けました。今年だけで6000万円のマイナスとなり、取り返しのつかない事態になっています。FXで勝ち続けるのは本当に難しい」
JIN氏は、これからFXを始めようとする人に「大半の人は負けることを覚悟してほしい」というが、その言葉通りになった個人投資家もいる。
「友人がFXで儲けた話を聞き、なけなしの40万円で10倍のレバレッジをかけて、9月21日に1ドル=144円で400万円分のドルを買いました。150円まで円安は進むと思っていたのに、その翌日、為替介入によって140円台に急落。慌てて損切りして売ってしまったので、たった1日で約11万円の損失に……。もう手を出す気になれません」(50代男性)