金利と債券価格の関係
新規に発行される債券を新発債、すでに市場に出回っている債券を既発債といいます。新発債は、額面金額(発行価格)で取引されますが、既発債は、時価によって売買されます。新発債で購入して、満期まで保有する場合は、定期預金とほとんど同じなので、分かりやすいのですが、既発債を購入する場合は、すこしややこしくなります。具体的に説明しましょう。
債券には、金利が上がると価格は下がり、金利が下がると価格は上がるという特徴があります。
たとえば発行価格100円、利率2%(金利の受け取りは年2回)、償還期限1年の債券Aがあるとします。
市場の金利が3%に上昇した場合、利率2%の債券Aの魅力は低下するので、利率2%の債券Aを売って、3%の利率の債券Bを買う人が増えます。つまり2%の利率の債券Aの価格は下がります。需要が減少し、価格が下がるのは、株と同じですね。
ただしここで、2%の利率の債券Aの価格が下がり、仮に98円でこの債券を購入した場合の利回りは上昇します。具体的に見ていきましょう。
・債券Aを新発債で購入して、満期まで保有した場合
購入価格100円に対して金利を1年間で2円受け取るので最終受取額は102円。投資額100円に対して102円受け取るので利回り2%となります。
・債券Aを既発債で98円で購入して、満期までに1回だけ金利を受け取り、満期日に発行価格100円を受け取った場合
投資額98円に対して101円受け取るので、利回りは3%になります。
つまり市場の金利がどんどん上がっていくときは、既発債の価格はどんどん下落しているので、利回りが高くなり、投資妙味が増していくわけです。