森口亮「まるわかり市況分析」

10月に株価が45%上昇 半導体関連の人気銘柄「レーザーテック」に起きた3つの変化

【2】需給の違い

 株価を短期的に左右するもののひとつが「需給」です。株式市場における需給とは、わかりやすく言えば、株を買いたい人と売りたい人の動向です。その需給を確認するための情報の一つが「信用残情報」で、毎週第2営業日の引け後に発表されます。

 東京証券取引所から発表された10月第4週信用取引の情報によれば、信用売り後に未決済の状態である信用売り残の株数が155万3200株となり、2022年では最大の株数となりました。

 信用売り残が多いということは、返済取引が「買い戻し」となります。株価が下落した場合には利益確定の、逆に上昇した場合には損切りの「買い戻し」が入ることが予想されます。このことから信用売り残は「将来の買い圧力」と言え、直近の株価は下がりにくく上がりやすい状況になっていると言えるでしょう。

 高値警戒感や過熱感はあるものの、短期的な需給だけをみるならば上昇する可能性を感じます。

【3】チャートの違い

 10月の急騰の中で長期的な株価トレンドの目安と言われる200日移動平均線を10月24日に超えています。その後も株価は上昇を継続したため、一時的なダマシではない可能性が高く、今後の移動平均線によるサポートに期待したいところです。

 またトレンドの方向性を表す200日移動平均線の向きは、200日前の終値と現在の株価との比較で決まります。その200日前というのが急落をしていた2022年1月中旬まできています。その結果、移動平均線の角度が下向きから徐々に横向きに変わりつつあります。仮に12月に入っても株価が現在と同じ水準で維持した場合、線の向きがほぼ横向きに変わり、少なくとも下降トレンドを脱却したと期待できます。

 ここまでみてきたように、10月に45%近く上昇したレーザーテックに過熱感がある中でも、「過去の平均PERよりも割安」「2022年11月時点の信用売り残が今年最大」「200日移動平均線を超えている」という3つの点は、過去の下降トレンドの時とは異なります。

 もちろん、株価に新しい材料が加われば上にも下にも動く可能性がありますが、投資家は材料だけで判断するのではなく、事前に業績、PER、需給や株価トレンドを確認しておくことが重要となるので、参考にしてほしいと思います。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

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