それでも、今回のコアCPIの減速度合いはモメンタム勢を強気にさせるにはかなり強力な材料となっており、株式の先行きに対する強気派の勢いは簡単には萎まないだろう。このため、15日の米10月PPIが多少予想を上回る程度ではインフレ減速・金融引き締め懸念後退への期待は衰えず、今週末の米国版SQ(特別清算指数)算出日までは売り方の買い戻しを巻き込みながら上昇基調が続くと考えられる。東京市場でも、日経平均でいえば28500円水準までは実需筋の買い戻しで上昇し、その先は商品投資顧問(CTA)などのトレンドフォロー型ファンドによる一段の買い持ち高の積み上げにより29000円タッチはありえそうだ。
先週末は地合いの影響が大きいだろうが、業績予想を下方修正した東京エレクトロンが急伸しており、半導体関連株のあく抜け感を想起させるような動きとなった。こうした中、今週は米国時間で16日にエヌビディアが、17日にはアプライド・マテリアルズが決算を予定している。内容が悪いであろうことはすでに分かっているため、焦点は東京エレクトロンと同様にあく抜け感が強まるかどうかだろう。それ以前の話ではあるが、東京エレクトロンの株価が週明け以降もしっかりと続伸できるかも重要なポイントとなってこよう。関連株のあく抜けが強まれば指数寄与度の大きい銘柄が多いだけに、相場全体を押し上げることにもつながろう。
一方で、懸念材料が何もないわけではない。今週は15日にホームデポ、ウォルマート、16日にロウズ、ターゲット、17日にギャップ、メーシーズの決算が予定されている。インフレ下で個人消費が減速しつつある中、小売企業は需給の読み違いで大量の在庫を抱えており、今年は年末商戦を前倒しすることで在庫処分に勤しんでいる。ただ、それでも年末商戦は不振に終わる可能性があると指摘されており、今週の米小売企業の決算はやや注意が必要だ。
ほか、米中の10月小売売上高や鉱工業生産、米11月各連銀製造業景気指数なども注目される。業績下方修正や在庫処分の遅滞が判明すれば、景気悪化・企業業績悪化への懸念が強まり、相場のムードを一変させる可能性もある。相場は短期的には強含みで推移し、一段高もあり得ることをメインシナリオとするが、同時にリスクも常にあることを想定しておきたい。
今週は15日に7-9月期国内総生産(GDP)速報値、中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高、米10月PPI、米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に9月機械受注、米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、17日に10月貿易収支、米10月住宅着工件数、米11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、18日に10月全国消費者物価指数、米10月中古住宅販売、などが予定されている。