投資情報会社・フィスコが11月14日~11月18日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は戻りの鈍い値動きとなりそうだ。米インフレ指標は鈍化し、連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げへの期待は後退しており、ドル買いは弱まりそうだ。また、年末に向け消費の低迷が予想され、景気減速への懸念からもドル買いは縮小しよう。11月10日に発表された米10月消費者物価指数(CPI)は前年比+7.7%、コア指数は同+6.3%と伸びは鈍化。インフレ高止まりでFRBによる金融引き締めの長期化が見込まれるが、市場はこの方針を織り込んでおり、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに拡大する可能性は低いとみられる。
今週発表の米経済指標のうち、10月小売売上高、11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数はいずれも前月から小幅に改善する見通し。FRB当局者はタカ派姿勢を弱めるのに慎重で、強い経済指標は米長期金利上昇とドルの買戻しにつながりそうだ。一方、8日の米中間選挙で、民主党は想定ほど苦戦せず、バイデン大統領は2年後の大統領選に再選の意欲を示している。ただ、党内から金融引き締め政策に批判が向かうか警戒されよう。15日にはトランプ前大統領が出馬を表明すると報じられ、政治情勢の不透明感もドル売りを誘発する可能性があろう。
ドル円は10月後半に151円90銭台まで強含んだ後、日本政府による円買い介入が奏功し、徐々に上値を切り下げている。当面のサポートラインとみられていた145円も割り込み、2カ月ぶりとなる140円前半に一時下落。弱材料が目立つなか、目先的には戻りを試す展開が予想される。
【米・10月小売売上高】(16日発表予定)
16日22時半発表の米10月小売売上高は前月比+0.9%と、前月の0.0%から改善が予想される。ただ、金融引き締め長期化の思惑で市場予想を下回った場合、景気への懸念が浮上し、ドルの下押し要因となりそうだ。
【米・11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(17日発表予定)
17日発表の11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は-5.0と、前月の-8.7から改善が予想される。ただ、マイナスは続くとみられ、製造業の低迷を嫌気した金利安・ドル安の要因になりやすい。