“週休5日になる制度”で育休後の復帰をサポート
柴田さんはその後、人事部でより女性が働きやすい鉄道をめざし、各種制度の拡充を行った。
「夜は遅く朝は早い鉄道の現場は、泊まり勤務に支えられています。そこで、子育てをしている社員に向けて、泊まり勤務を週に1~2回行えば、その週の残りはすべて休みとなる『短日数勤務制度』をつくりました。例えば、日曜日と月曜日に泊まり勤務をすると、火曜~土曜日は休み。子供が幼稚園や保育園に通っている平日の日中は自分の時間を確保できるのです」
女性活躍の大きな課題の1つが「仕事と家庭の両立」。だが、1日のすべての時間を「仕事と家庭」で埋め尽くされてしまっては、たとえその2つを両立できても、休む時間や、自分のための時間は失ってしまう。この制度は、そうした目に見えにくい課題まで解決することができる。
短日数勤務制度や3年間の育児休業など、さまざまな制度・風土を整えていった結果、1996年度末に1.3%だった女性社員の割合は、2021年度末で約12%に急増。今年4月の新卒採用者では、女性社員の割合が20%を超えた。
「もともと男性比率が高かったこともあってか、男性社員は皆“女性がいると職場が明るくなる”と言います。もちろん、男女が同じ職場で働くメリットはそれだけではありません。鉄道は男女関係なく利用するもの。女性目線の旅行プランづくりや細やかなおもてなしは、会社にとっても大きな強みです。
また“家族の時間を大切に過ごせることで、仕事のモチベーションが上がる”など、男性が言い出しづらい観点での意見を発信して、人事施策に生かすこともできます。女性がより活躍できる風土ができれば、男性もより働きやすくなり、会社全体、ひいては鉄道業界全体の発展にもつながります」
※女性セブン2022年12月1日号