また、受忍限度は普通の人を基準に判断されるので、同程度の音量の騒音を受けている周りの人が気にしていないときは被害者の感受性の程度も問題になります。
音量はデシベル(dB)で表しますが、家庭用機器の音量はエアコンや換気扇は40~60dB、掃除機で60~76dBなどといわれています。日常会話の標準的音量、テレビの音量などは50~70dBで、この程度の音量であれば非常識な時間帯に長時間継続するのでなければ受忍限度内といえそうです。
音量がこれを超えていても、裁判で解決するのは時間と費用のかかることですし、何より高齢の隣人との紛争も避けたいと思います。
そこで本人のほか、その親族や自治体の高齢者支援担当者に事情を話して相談し、隣人の理解を得ながら、テレビの置き場所やスピーカーの向きを変えたり、窓閉めの励行のほか、遮音カーテンやついたてなどの簡易な防音措置を講じるように提案してはいかがでしょうか。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2022年12月8日号