ISM製造業景気指数は前回10月が50.2と、拡大・縮小の境界値である50より上をかろうじて維持したが、今回11月分での市場予想は49.8となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために景気減速は止む無しとのスタンスを維持しているため、50割れとなれば、素直に景気後退の兆候として嫌気されそうだ。
中国のPMIは11月30日に国家統計局が発表する製造業と非製造業が、12月1日には財新とマークイットが発表する民間版の製造業部門の統計が公表されるが、すべて前月からの横ばい、ないしは悪化が予想されており、共に拡大・縮小の境界値である50割れが続く見込みとなっている。中国では一時、新型コロナ感染抑制を目的とした「ゼロコロナ」政策の緩和への期待が高まっていたが、その後の感染急拡大によって都市封鎖が一部で再開されている。当局による景気対策への期待もあるが、これまでに実施済みの政策の効果はほとんど表れておらず、ゼロコロナ政策を緩和しない限り、本格的な景気回復は望めないだろう。こうした中、低調な指標結果は世界景気の減速として相場の重石となろう。
先週末金曜日のブラックフライデーから米国では年末商戦が本格化している。今週月曜日にはサイバーマンデーもあるが、インフレ環境下での消費者の支出抑制の動きから、年末商戦が低調に終わる可能性も指摘されている。売れ行きが徐々に明らかになるにつれ、景気後退への警戒感が高まるリスクも捨てきれず、注意したい。
今週のスケジュールは28日に米サイバーマンデー、29日に10月失業率・10月有効求人倍率、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月CB消費者信頼感指数、30日に10月鉱工業生産、中国11月製造業・非製造業PMI、米11月ADP雇用統計、米7-9月期GDP改定値、米10月雇用動態調査(JOLTS)、米ベージュブック、12月1日に7-9月期法人企業統計、中国11月財新製造業PMI、米10月個人消費支出・個人所得・PCEコアデフレータ、米11月ISM製造業景気指数、2日に米11月雇用統計となっている。