「銀行の店舗」が、街から次々と姿を消している。窓口でのサービスを頼りにする顧客から強い不満が聞こえてきた。いま銀行で何が起きているのか。【全3回の第1回】
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFG(3メガバンク)の2022年9月中間決算によると、3社の純利益の合計は1兆900億円。三菱UFJ傘下の米地銀売却に伴う損失処理(6000億円規模)などが響き、前年同期比3割減となった。
米国の利上げ政策で債券価格が下落し、3社が持つ外国債券の含み損は約4兆円と、この半年で実に2.3倍に増えてもいる。
市場環境が大きく変化するなか、3行は店舗の統廃合やIT化による業務の効率化を急ピッチで推進するが、その反面、利用者からは不満の声が上がっている。
東京23区内のメガバンク支店を利用する60代男性はこう言う。
「口座を持つ支店が他店に統合され、これまで自宅から車で5分だったのが、30分以上かかるように。統合先の支店は先日駐車場が閉鎖されて停められなくなり、不便でしょうがない。同店は複数の支店が一緒にされたから窓口は常に大混雑。銀行が推奨する来店予約をしようにも、10日以上先まで埋まっていることもある。予約なしで行くと1~2時間待ちは当たり前。昔と違い、銀行に行くだけでくたくたに疲れてしまう」
こうした店舗減少の流れは、メガバンクに限らない。全国銀行協会(全銀協)によると、メガバンクや地方銀行などの店舗数は、20年前(2001年3月末)の1万5301店から2022年3月末の1万3665店へと、約1割減った。
今後も店舗のリストラは続く見通しで、三菱UFJは2017年度末に515店あった従来型の店舗を、2023年度末までに約320店に削減する計画を実行中だ。
三井住友は2022年度末までに400以上ある店舗の4分の3を個人向けコンサルティングに特化した軽量店に転換する計画だ。また、みずほ銀行も、2017年3月末に約500あった国内拠点のうち130拠点を2024年度までに削減する。