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「五輪汚職」高橋治之容疑者の人脈 葬儀の親族席に座っていたバブルの王様・森下安道氏

五輪招致の2トップである組織委員会元会長の森喜朗氏(右)とJOC前会長の竹田恒和氏(時事通信フォト)

五輪招致の2トップである組織委員会元会長の森喜朗氏(右)とJOC前会長の竹田恒和氏(時事通信フォト)

 リーニエンシー制度は、司法取引に近い。東京地検次席検事の森本宏が特捜部時代の2018年3月、大手ゼネコンのリニア中央新幹線談合事件でこれを使った。リニア事件では、大林組、清水建設、大成建設、鹿島の4社のうち、大林と清水に談合を認めさせ、大成と鹿島の摘発にこぎつけた。目下、五輪汚職捜査を指揮している地検次席検事の森本得意の捜査手法といえる。ADKが認めたとなれば、五輪汚職の中心だった電通も危うくなる。もともとADKは五輪ビジネスから外されていたが、電通専務の高橋の口利きで五輪事業に参加できた経緯もある。で、体操や馬術など3件を総額1億円で受注。1件当たりの契約額は2900万~4500万円とされる。

「電通出身の高橋がなぜADKに使うよう働きかけたのか。特捜部は、日本馬術連盟副会長だったJOC前会長の竹田に便宜を図る目的だったのではないか、と睨んでいるわけです」(前出の捜査関係者)

 特捜部の捜査では、ADKが窓口になり駐車場事業のパーク24がスポンサー契約を結んだことも明らかになっている。パーク24は竹田が社外取締役を務めてきた会社だ。この先、竹田まで捜査がおよぶのか。やはりそこが大きな焦点となる。この五輪汚職捜査でカギを握るのが、大会組織委員会元理事の高橋なのは疑いようがない。2億円近い収賄容疑で特捜部に4回逮捕・起訴され、いまだ保釈も許されていない。

親族席に座っていた

 高橋の慶大人脈もクローズアップされてきた。高橋にとって、竹田の実兄が慶大の同級生、弟の恒和が後輩、竹田自身も慶大という旧知の間柄である。ぬいぐるみ製造サン・アローからの資金の受け皿になったコンサルタント会社アミューズ代表の松井譲二(75)も、慶大の後輩にあたる。

 そして、忘れてならないのが、実弟の高橋治則の存在である。高橋の1歳下の治則も慶大OBでJOCの竹田や松井の先輩にあたり、慶大ネットワークの中核といえる。言うまでもなく、リゾート会社イ・アイ・イ・インターナショナルを率いて「環太平洋のリゾート王」と異名をとったバブル紳士である。

 東京協和信用組合理事長だった治則は1995年6月、自らのグループ企業や友人の元労相山口敏夫らに不正融資した特別背任容疑で東京地検特捜部に逮捕される。安全信用組合の乱脈経営と合わせ、二信組事件と呼ばれた。皮肉にも、兄弟そろって特捜部に逮捕、起訴されたことになる。

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