セミナーへの参加は教団内部の会議で決められる
私は長く信者教化のシステムの一つであるライフトレーニングの講師を担当しましたので、教団の仕掛ける裏舞台を見てきました。例えば次のようなことが行われています。
〈多くの人は自分の意思でセミナーに参加していると思うかもしれませんが、そうではありません。それを決めるのは本人ではなく、教団内部の会議で決められます。旧統一教会の教えに心がどのくらい染まったかが判断の基準になります。この先にも様々なトレーニングが続きますが、同じことです。「自分で選んだように思わせて、実は選ばされている」、この手法が非常に巧妙だといえます。〉
つまり一つ前のセミナーに参加した時点で、もう次のトレーニングに参加する選択肢しかない状況に追い込まれているのです。もし次のトレーニングに参加しないような心の状況であれば、その前のセミナーには参加させません。すべて教団側の思惑によって決められて、本人は進まされているのです。
これは信者らに多額の献金などをさせる時も同じです。お金をいくら出させるかはその人の個人情報をさらけ出して会議にかけて、戦略をたて、本人にアプローチすることになります。田んぼはいくらで売れるのか。土地を担保にすればどのくらいお金を借りられるのか。身内がなくなった信者がいれば、いくら生命保険が入るのかなど、すべて事前に把握してから信者本人にそれを実行させます。もちろん、当の本人はそんなことが裏で行われていることは知りません。
信者らは自主的にお金を出していると思っているかもしれませんが、実は「自分から献金します」と言うように仕向けられています。断り文句は一切封じられていて、それを行うしか選択肢がないようにしてお金を出させられてしまうのです。
【プロフィール】
多田文明(ただ・ふみあき)/詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。『ついていったらこうなった』(彩図社)はテレビ番組化。また、旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)。