家計

インフレ時代の現金・預金リスクとは? 「タンス預金は脱税」「銀行預金に維持費」の未来も来るか

インフレ時代はこれまでの資産管理の常識が通用しなくなる(写真/AFLO)

インフレ時代はこれまでの資産管理の常識が通用しなくなる(写真/AFLO)

 猛烈なインフレと円安に見舞われている現在。こうした状況下では、「生活防衛のための貯蓄」は悪手だ。超急ピッチで物価高が進んでいるなか、このまま銀行預金や現金で持っているだけでは、その価値はどんどん目減りする一方だ。

 そもそも、現在の銀行の定期預金の金利はわずか0.002%。年利が6~7%だったバブルの頃のように、資産を銀行に預けて増やすことはできなくなっている。明治大学政治経済学部教授で経済学者の飯田泰之さんは言う。

「ただ現金・預金を持っているだけでは、増えないどころか、物価が上昇した分、買えるモノが減っていきます。日本のいまのインフレ率が3%台ということは、同じ一万円札100枚を持っていても、1年前は100万円のモノが買えましたが、いまは約97万円分のモノしか買えなくなっているということです」

 相対的に価値が目減りするだけでなく、税金や盗難によって資産を大きく失う可能性すらある。

 2022年3月にスタートした公金受取口座登録制度は、マイナンバーに預貯金口座をひもづけることで個人の資産を国や自治体が把握し、社会保障や年金、税金の正確な受給と管理を図るもの。登録するとマイナポイントを受け取れるなどの制度もある。

 だが「資産(銀行預金)を国に把握される」ということは、国の目の届かないタンス預金はどうなるのか。世界経済に詳しい、リーガルコンサルティング行政書士事務所代表の浅井聡さんが言う。

「こうしたマイナンバー制度がもし義務化されれば、タンス預金が“脱税”とみなされるようになる恐れもあります。また、日本銀行のゼロ金利政策によって銀行経営はとても厳しくなっており、近い将来、銀行に口座の“維持手数料”が取られるようになる可能性もある。

 さらに、いまは相続税は“3000万円+600万円×法定相続人の数”までが基礎控除枠となっていますが、この上限金額は減らされる見通しです。つまり、現金を持っておいて次の代に託す“守り”の資産管理すら、通用しなくなるかもしれないのです」

 インフレ時代に突入すると、これまで正しかった資産防衛術がまったく意味をなさなくなるかもしれない。

※女性セブン2022年12月15日号

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