相互扶助による経済成長など、もはや“昔話”だ。個人はもとより、企業までが人材や設備への投資を惜しんで現金を貯め込んでいるため、生産性も賃金も上げられない負のループが続いている。
その一方で、日本では為替の値動きに賭けるFX(外国為替証拠金取引)をする人も増えている。
FXは投資の中でもギャンブル性が高く、短期間で一攫千金をねらえる一方で、レバレッジによって手持ちのお金以上を投資できてしまうため、失敗したときに多額の追加証拠金を要求され、借金を背負う人も少なくない。経済評論家の加谷珪一さんが言う。
「これほどハイリスク・ハイリターンなものに多くの一般庶民が取り組んでいるのは、世界でも日本くらいです。貯蓄好きな半面、ラクして稼げると聞けば飛びついてしまう人も多いのが、日本人なのです」
真面目で堅実で倹約家なイメージは、本来の日本人の気質ではないのではないかと、加谷さんは言う。事実「近代日本資本主義の父」といわれる渋沢栄一は、戦前の日本人について、時間にルーズでいい加減だと書き残している。
「“日本人は平気で契約を破ったり、払うべきお金を払わなかったりと、あまりにもマナーに欠ける”と、何度も嘆いています。それが戦時中の国家総動員体制によってガラッと変わったのです。細かいことを気にせず宵越しの銭は持たないような、いわゆる江戸っ子気質の方が、本来の日本人の国民性なのかもしれません」(加谷さん)
※女性セブン2022年12月15日号