例えば、小穴を開けた瓦を針金で屋根に固定する、留め金で固定する、漆喰で固定するなど、瓦を固定する方法があります。
周囲の建物から瓦が飛んでいないのに隣家の瓦だけが飛散したような場合には、こうした対策が講じられていなかったと推測され、通常備えておくべき安全性が欠けていたと評価した裁判例があります。
その事件では、台風が本格化した時間以降は瓦が飛ぶ家は少なくなかったのですが、問題の隣家がそれ以前のまだ風速14.5m程度のときから飛散し始めていた事実を認定しました。その結果、その頃に飛散した瓦による被害は瑕疵と因果関係があると判断し、修繕費用の一部の賠償を認めています。
気象データで風速やその推移がわかります。隣家の瓦の飛散の経過、近所の建物の飛散の有無や程度を調査し、特別な強風でないのに隣家だけ瓦が飛んだといえるときは、資料を揃えて隣家と交渉しましょう。交渉に応じなければ弁護士会の法律相談センターなどで専門家の助言を求めるとよいでしょう。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2022年12月15日号