こうした中、今週末9日には米11月PPIの発表が控えている。食品・エネルギーを除くコア指数は前月比で+0.2%と10月(+0.0%)から加速する見込みだが、前年比では+5.8%と10月(+6.7%)から大きく減速する見込みとなっている。東京市場で結果を織り込むのは翌週となるうえ、CPIとFOMCを前に様子見ムードに変わりはないとは考えられるが、予想通りの大幅減速の結果となれば、インフレ減速・利上げペース減速への期待感は一段と強まり、相場の下支え要因となろう。
ほか、今週初めの5日(日本時間6日午前0時)には米11月のISM非製造業景気指数が発表される。市場予想は53.5で、拡大・縮小の境界値である50は依然として上回る見込みだが、10月(54.4)からは縮小する予想となっている。先週は、パウエルFRB議長のイベント講演を受けてFRBの利上げペース減速期待が強まる中でも、ISM製造業景気指数の予想比下振れを素直にネガティブに捉える動きが見られたため、非製造業景気指数の方でも注意が必要だろう。
また、日本株については、急速な為替の円高進行が大きな重石として働いてきている。FRBの利上げペース減速期待に加えて低調な米経済指標を受けて、10月までの記録的な円安・ドル高トレンドの反転が強まっており、12月に入ってからのドル円は1ドル=133円台まで下落している。日本の貿易赤字に伴う、実需筋によるドル買い・円売りがドル円の下値をある程度下支えするとはいえ、投機筋の売買動向に振らされる要素の方が大きいとみられ、トレンド転換を意識した投機筋のドル売り・円買いの動きが今後も日本株の上値を抑える可能性に注意したい。
こうした中、年前半に資源価格の高騰と円安進行のダブルパンチを被っていた食料品や電気・ガスなどのセクターに属する内需系企業にとっては、資源価格の落ち着きに加えて円高進行が逆に追い風として働くことになるため、今後は内需系ディフェンシブ銘柄などに関心を高めていきたい。また、米10年債利回りの低下基調が続いていて、株価バリュエーションへの下押し圧力が和らいでいることから、情報・通信セクターなどに属する内需系グロース株も指数をアウトパフォームすることが期待されよう。
今週の予定は5日に米11月ISM非製造業景気指数、6日に10月家計調査、米10月貿易収支、7日に10月景気動向指数、中国11月貿易収支、8日に7-9月期国内総生産(GDP)確定値、11月景気ウォッチャー調査、9日にメジャーSQ(特別清算指数)算出、中国11月CPI・PPI、米11月PPI、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数、などとなっている。