大手キャリア4社は11月29日、スマホが「1円」で安売りされていることを受け、それを規制する新たなルール整備を総務省に提案した。現状、回線契約を問わない割引には上限がなく、回線契約時の割引(上限2万2000円、税込み)と組み合わせると、「1円スマホ」として売ることが可能だ。制限なしの割引はキャリア間の熾烈な競争を生み、結果として1円スマホを転売する「転売ヤー」問題にもつながっている。キャリア各社は割引に上限を設けることで、そうした問題を解決する道筋を切り開こうとしている。
一方、こうした大手キャリアの動きに一部スマホユーザーからは、さまざまな声があがっている。
「1円スマホ」がなくなるのは困る
メーカーに勤務する40代女性・Aさんは今年3月、中学生の娘にせがまれてiPhone 12を購入した。
「iPhoneは、iPhone SE(第3世代)のような廉価版ではない限り、定価で10万円を超えてくる。iPhoneよりも安いAndroidはどうかと娘に言ってみたら、『iPhoneじゃないと絶対イヤ!』と泣きつかれてしまって……。さらに家電量販店に行ったら、『iPhone 12 一括10円』の文字が飛び込んできたので、即決しました。キャリアによる大幅値下げは、家計にも娘にも救世主でした」(Aさん)
今年7月、iPhoneシリーズが値上げされたのは記憶に新しく、Appleストアの販売価格は約2割上昇した。ますますiPhoneは“高嶺の花”になり、そのうえ「1円スマホ」も風前の灯火だ。Aさんは「2年後が心配」と嘆息する。
「数年後の買い替え時には、また『iPhone 一括○円』で買い替えればいいと思っていました。円安進行前に購入できたのも良かったと思っていたんですけど、1円スマホがなくなるかもしれないと聞き、次の買い替えタイミングが不安しかありません。なるべく長く使うしかないですよね」(Aさん)