他の客が近づけないようにブロック
医療従事者の20代男性・Bさんは半年前、都内でも所得水準が比較的高い閑静な住宅街に引っ越した。そこで、驚きの光景を目にしたという。
「半額になることがわかっている商品が陳列されている棚の前にカートを持ってきて、他の客が近づけないようにブロックしている女性客がいました。店員さんが来たらそのスペースだけ開けて、値引き品をすべてかごに入れていくんです。
またある時は、2人組の高齢女性が、二手に分かれて手際よく半額品の生鮮食品を回収していくのも目撃。先日は、値引きが始まったので見に行ったら、後ろから押し寄せてきた人たちに押されたうえ、手を伸ばしてきた人の爪で引っかかれました。みんな身なりがきれいだし、バッグや財布も高級でお金持ちっぽいのに、そこまでするんですね……」(Bさん)
「20%引きだと値上げ前の値段と変わらない」
神奈川県の住宅街に住む自営業の30代女性・Cさんは、これまで値引き食品とは距離を置く生活を送ってきたが、最近は値引き競争に積極的に参戦。「割引率にこだわり、意識してチェックするようになった」という。
「値引き商品は、ほしくないものまで買ってしまい、結局腐らせる、というような経験が多々あるので、30歳を過ぎてからは『値引きだろうが値引きじゃなかろうが、本当にすぐ食べるものしか買わない』というマイルールを作っていました。
でも、今はいろいろなものが値上がりしていて、例えばこれまで800円ぐらいで買っていたお弁当が1000円近くするようになるなど、出費がかさむ。そうなると、極力値引きされているものの中から食べたいものを選ぶ、という考え方になってきました。ただ、20%引きぐらいでは正直物足りない(笑)。『20%引きだと値上げ前の値段と変わらない』という感覚なので、本音を言えば、30%以上の値引き商品を狙いたいところです」(Cさん)
値上げラッシュが続くなか、少しでも家計を守るべく「値引き食品を買いたい」という人は増えている様子。その分、値引きシールをめぐる競争も激化しており、あらためて買い物客のマナーの問題が浮上しているようだ。(了)