「おせち作りってそんなに面倒かな?」
「『忙しいフルタイムママさんが買うのは分かるんだけど、キミコさん、週3の時短パートでしょ? 毎日そんなに忙しいの?』と言われてしまいました。Aさんは、“おせちは忙しくてお金に余裕のある人が購入するもの。そうでなければ、自分で準備するもの”という価値観を持っていたようです」
キミコさんは誤解されないためにも、おせちを買うこと決めた理由(かかる手間や材料費を考えれば購入したほうが経済的だと思った)を丁寧に話したそうだ。しかし逆に火に油を注ぐような結果となってしまう。
「それでもAさんは、『おせち作りってそんなに面倒かな? 伊達巻やかまぼこを切って入れるだけでも華やかになるし、味付けも調整できるよ。それに、家族も手作りの方が喜ぶんじゃないかな。値段だって半分以下でたくさん作れるし経済的じゃない?』と、あくまでおせちを買うことに価値を感じられない様子でした。私としては話題の一つとして挙げただけで、価値観を押し付けようとしたわけではなかったのですが……」
このことを夫に相談したキミコさん。慰めてもらえると思って打ち明けたのだが、夫は「たしかにデパートのおせちは贅沢だったかもね。ちゃちゃっと作れるもので俺は十分だし、クオリティとか気にしてないから」と言い放ったという。
「すごく簡単に言われたのが傷つきました。夫婦で話し合って決めたおせちでしたが、届いたら一連の出来事を思い出しちゃいそうで……。何気ない会話も怖くてできなくなりそうです」
家庭や生活スタイルによって、おせち料理に対する価値観は大きく異なるようだ。正解がないことだからこそ、相手の意見に流されるのではなく、自分の考えを大切にしてお正月の準備をするほうが、心が豊かになるような気がする。(了)