藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

NISA制度が大幅改正 「やる人」と「やらない人」で資産格差が大きく開いていく可能性

見慣れない「生涯投資枠」とは?

 今回の改正で、はじめて「生涯投資枠」という言葉がフィーチャーされました。その名のとおり生涯で使える投資額の上限です。現状のNISA制度でも、つみたてNISAが800万円、一般NISAが600万円と上限はありましたが、これは非課税期間が決まっていたので、毎年の上限額×非課税期間で決まっていました。改正後は、非課税期間が無制限なので、生涯投資枠を使い切るまで総合NISAを利用できることになります。

 さらにこの生涯投資枠は、なんと「再利用」が可能です。現行制度では、保有商品を売却しても、その代わりに何かを購入することはできません。つまり投資枠の再利用は不可ですが、新制度では許されます。たとえば以下のようなことが可能です。

【1】10年間で1800万円分を投資
【2】500万円分を売却
【3】買い付け残高が1300万円になるので追加で500万円購入可能
(※実際は利益や損失金額も踏まえた上で、元本ペースで買付残高が計算されます)

 かなり使い勝手がよくなりますよね。

現行のNISAも活用しよう

 これからNISAを始めようと思っていた人は、キリよく新制度になる2024年からスタートしようと考えるかもしれません。いえいえ、それはとってももったいない。というのも1800万円の“生涯投資枠“に、現行のNISAの投資額は含まれないからです。もちろん、既に現行のNISA口座で非課税の恩恵を受けている人も、2024年から新たに総額1800万円の投資枠が使えます。こころおきなく2023年も現行のNISA枠を使い切りたいですね。

世代によって投資戦略を変えられる

 非課税期限が無期限になったことで、投資方法はかなりフレキシブルになりました。それぞれの年代やライフプランによって投資額や年数をアレンジすることができます。たとえば20歳から毎月3万円の積立投資をすれば、生涯投資枠1800万円に達成するのは70歳なので、50年間積立できます。仮に年間4%の利回りで運用できれば、70歳でなんと約5730万円! 老後の心配なく現役時代を謳歌できますね。

 一方すでに人生の後半に突入した世代は、もう少しスピード感をもって投資枠を消化したいところ。もし手元に余剰資金があるなら、成長投資枠を使って最初の3年で200万円ずつ600万円を投資し、そのほかつみたて枠で毎月5万円で20年間積み立てればトータル1800万円となり、50歳からスタートしても70歳で生涯投資枠を消化できます。同じく年間4%の利回りで運用できれば総資産は約3100万円となりますので、いわゆる老後2000万円問題も余裕で解決です。

 いずれにしても投資枠が劇的に大きくなったことで、NISAを利用する人としない人の生涯資産額は、笑えないくらい大きくなる可能性が出てきます。今までなかなか重い腰を上げなかった人も、今こそ立ち上がるタイミングではないでしょうか。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。