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五輪汚職事件 高橋治之被告を支えた「リゾート王」の弟が築いた“バブルの王様”との怪人脈

取り立ての厳しさから「マムシ」と呼ばれていた森下安道氏

取り立ての厳しさから「マムシ」と呼ばれていた森下安道氏

「高橋は、私が森下さんから借りたカネを返すためにゴルフ場をやり始めたようなもんです。ゴルフ場会員権の販売がブームになってね。議員の私自身が会員権を売るわけにはいかないから、代わりに高橋が自分のゴルフ場の会員権を販売し、その手数料5%くらいを森下さんへの返済手数料に充ててくれたんだ。それで俺はアイチの借金を返せた。高橋は(長崎県の)平戸でもゴルフ場をやっていたし、海外のリゾートは大変なものだったからね」

 高橋と山口の蜜月は知られたところでもある。山口は高橋にとって政財界の道案内人でもあったという。
 
「安倍晋太郎とか、小沢一郎とか、みな私が高橋に紹介してあげていたからね。ホワイトハウスで副大統領だったパパブッシュ(ジョージ・H・W・ブッシュ)にも引き会わせた。それで高橋はサイパンやグアムにホテルをつくり始めたんだよ。兄貴の高橋ハチも、森喜朗なんかとそうやって親しくなっていったんだ。俺は高橋のことはノリ、兄貴はハチと呼んでいましたけど、俺自身はハチとはいろいろあって絶縁状態です」

事件後、高橋、山口、そして森下との交友が復活

 山口は高橋について、次のような豪快な秘話を明かした。

「高橋(治則)の全盛期には、住友不動産中興の祖といわれている安藤太郎(会長)さんから料亭吉兆に招待されてね。『高橋さんに相談事があるので仲介してくれませんか』と頼まれたこともありました。住友不動産が高橋の持っているシドニーのリージェントホテルを欲しいという。『500億円ぐらいで譲ってもらえればありがたい』と……。高橋は130億円ほどでそれを買ったそうだから、370億円も儲かる。だから『ノリ、売っちゃえよ。儲けのうち100億円くらいは俺の天下取りのために金庫に残しておけよ』と話をしたんです。すると、高橋は『先生の顔を立てて売る約束はするけど、5年計画でアジア太平洋に10兆円のリゾート地帯をつくるから、それまで待ってください。10兆円の半分を先生にあげるから』なんて言う。それから半年後にバブルが崩壊したのです。それで、みなぶっ飛んだ」

 山口自身は1995年12月、東京協和と安全という二つの信用組合の乱脈経営事件に絡み、資金の一部が渡ったとされ、背任の共犯の疑いなどで高橋とともに東京地検特捜部に逮捕された。懲役3年6か月の実刑判決を受けている。こう悔やんだ。

「二信組事件といっても協和の理事長だった高橋が安全の分まで乱脈経営の責任を背負ってね。理事長なんて早くやめたほうがいいよって前から言ってたんだけどね。一時は長銀が二信組の債権を引き受けようとした。もうバブルが破綻していたから、また高橋のところに不良債権が戻って来て、ああなったんだ」

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